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【西部劇映画によく出るアレ】災厄を招く害草"タンブルウィード"とは

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西部劇映画でお馴染み、決闘のシーンの背後をコロコロ風に乗って転がる草「タンブルウィード」。

その姿に可愛らしささえ覚えてしまう雑草の一種ですが、アメリカでは外草として取り扱われていることをご存知でしょうか?

今回はこの謎に満ちた生態について掘り下げてみることにします。

タンブルウィードとは

まずはこちらを見ていただきたい。

西部劇映画に出てくるアレ、、、とはかけ離れた暴走具合!びっくりですよね。

この「タンブルウィード(tumbleweed)」は日本では回転草と呼ばれるオカヒジキ属ヒユ科の植物で、別名「ハリヒジキ」とも呼ばれています。

tumbleweed = tumble(転がる)+ weed(草)

英名を分解してみるとまさしくそのまま。風に吹かれて荒野を転がる姿が語源になっています。

アメリカ横断中に遭遇した際、実際に手にとって触ってみたのですが、ふわふわした牧草のような見た目とは裏腹に、手触りはゴワゴワ。針金とまではいきませんが、チクチクとしたトゲに覆われ、素手で触ろうものならば下手すると出血してしまいます。

転がる原理もまた不思議

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タンブルウィードは普段、他の植物同様に地面に根を下ろして過ごしています。しかし夏の終わり頃に枯れ始め、その茎が根本で折れると、あとは風に吹かれて転がり、通り道に20万個を超える種を撒き散らすようになります。

わずかな水分さえあればどこにでも2メートルもの根を張るため、抜くのも容易ではないという、とてつもなく厄介な植物なんです。

元々はアメリカの植物ではない外来種だった

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タンブルウィードは元々はロシアが原産地。ユーラシア大陸のウラル山脈の東に広がる草原地帯に生息していました。

しかし、そんなタンブルウィードがアメリカ合衆国で最初に発見されたのは1877年のこと。

ロシア原産の植物が何故アメリカで見つかったのかは謎ですが、一説によると、今から150年ほど前、ロシアの農業者がアメリカに持ち込んだ種子の中に偶然タンブルウィードの種子が混じっていたことが流入の原因と考えられています。

あとは前述の通り、圧倒的な繁殖力により、北米中西部にあたるサウスダコタ州バナム郡で発見された後、風に乗り生息範囲を広げていきました。

近年アメリカで大量発生し猛威を振るっている

実はこのタンブルウィード、近年北米全土で手がつけられないほど増殖続けて社会的な問題にもなりつつあります。

その繁殖力もさることながら、1つ1つの塊が大きいものでは「乗用車ほどのサイズ」になることもしばしば。そのため道路を塞いでしまったり、果ては風に乗り街に侵入、そして住宅そのものを覆ってしまうため、外出したくてもドアが塞がれてしまい出入りができなくなるなどのトラブルも発生しています。

ココまでくると邪魔でしかないですよね。たまに見る分にはいいですが、冬場に度々発生するなら、もううんざりしちゃう事間違いなし。

アメリカ横断中実際に轢きました

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そして僕自身もこのタンブルウィードの被害を受けたことがあります。アメリカ横断中、南部をドライブしていた時、急にふと右車線から現れたタンブルウィードを避ける暇なく轢いてしまったことがあります。

急に現れたためブレーキをかけ減速するも衝突。車のフロントはタンブルウィードを巻き込み草まみれ。

僕はタンブルウィードの存在を知っていたので、急ブレーキをかけて同乗者に負担をかけるより、減速してでも引いてしまって大丈夫だと判断することができました。

ですがその存在を知らずにアメリカ横断をしていたならば、テンパって事故につながってしまう可能性だってあるわけです(それは怖い)

「轢いちまった」

と路側帯に車を止め、巻き込んだタンブルウィードを素手でグイグイ引っ張り出していると、通りがかったアメリカ人が「大丈夫か、何かがトラブルでもあったのか」と心配してくれ、その優しさにほっこりする場面もありました。

まとめ

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見た目は可愛いですが、数が集まると脅威でしかない「タンブルウィード」、現在はその脅威的な繁殖力と冬場の被害を軽減するために、アメリカとロシア、ウズベキスタンやトルコといった国々の研究者同士で力を合わせてその駆除方法を模索しているとのこと。

「タンブルウィード」の駆除といえど、そこから直接的な利益が出るわけもないため、問題解決はまだまだ先になりそうです。

コロコロ転がってるだけなら可愛いんだけどね。

では!